大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)884 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人児玉義史の上告理由第一点について。

原審は、上告人が本件公正証書作成手続に関しDに一切を委任していたことおよ

びEが本件公正証書作成にあたり予め上告人から上告人名義の印鑑証明書を受領し

ていたことをも認定しているのであつて、結局所論説示するところの趣旨は、Eが

Fを上告人の代理人として選任することにつき上告人の代理人たるDの委任を受け

ていたか、もしくはDの手定としてFを上告人の代理人に選任したとの意味に解し

得ないわけではなく、契約当事者の一方の代理人が同時に相手方のため代理行為を

なした場合でも、相手方の同意があれば右代理行為を以て無効となすことはできな

いのであり、原判示事実によれば、Eの前記選任行為につき相手方たる上告人もし

くはその代理人Dにおいて同意をしていたことが明らかであるから、Fは畢竟本人

たる上告人のため代理権を有していたものというを妨げず、従つてFを目して上告

人のため無権代理人とすることはできないから、所論は結局前提を欠くに帰し、採

用できない。

同第二点について。

原審の確定した事実によれば、本件債務弁済契約締結にあたり、上告人、G株式

会社の代表取締役たる資格を有するDおよび被上告人の代理人たるEが接衝の末、

Eの右会社に対する金六〇〇、〇〇〇円の債権を被上告人に譲渡する旨の合意が成

立したというのであるから、右会社において右債権譲渡を承諾していたものとみて

もなんら差し支えなく、所論の「右説示のとおり」との判示は判文を通読すれば「

前記説示事実によれば」との趣旨に解することができるから、所論は結局理由がな

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い。

同第三点について。

原審は、挙示の証拠に基づき所論委任状作成の経過について判示各事実を認定し

た上、右認定事実に基づいて、右委任状がDの代理権限内で作成されたものである

から偽造文書と目すべきでないとしているのであり、右事実認定ないし判断は首肯

できないから、所論は理由がない。

同第四点について。

原審が債務者たるG株式会社においてEの被上告人に対する債権譲渡を承諾して

いたことにつき判断をしていることは、前記第二点に対する判断に説示したところ

により明らかであるから、所論は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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